「課題解決企業への挑戦」
時代と共に変化しながら、印刷会社として培った知見や経験を活かしていく。
プロローグは「プロジェクトC」。
お客様と共に、地域と共に、私たちの歩みは続きます。
どんな商品でも「人の心を掴んで売る」。社歴40年の常務取締役であり、ベテラン営業マンとして現場にも赴く鈴木卓。「営業は才能ではなく、技術と真心」と言い切る鈴木は、カレンダーの温故知新を目指し、新たな価値創造に邁進中だ。
「地域やお客様の会社のPRにつながるカレンダー印刷に関しては、これまでも高い評価をいただいています」と鈴木は胸を張る。中央印刷の高度な印刷設備や技術力を駆使すれば、小ロットでも制作でき、しかもリーズナブルな価格を提示できる。こうした強みを生かし、全国JAグループおよびJA香川県様をはじめ、法人・個人向けのオーダーによる多様なカレンダー印刷に対応し、全国的にも高いシェアを獲得してきた。
その実績を買われ、今回プロジェクトリーダーに任命された鈴木だが、実はここ数年で紙のカレンダーの需要が目に見えて減少していることを危惧していた。「ただ、全体数は減ったとはいえ、依然として職場や家庭のどこかに必ずカレンダーは掛けられています。季節感を大切にする日本人の心にカレンダーはしっかり息付いているのです。ならばもっと不可価値をつけられないだろうか、というのが私たちの課題でした」。
そうした問題意識から立ち上がったのが、今回の「七曜プロジェクト」だ。「七曜」とは1週間の曜日のことを意味し、「カレンダー」のいわば語源でもある。「曜日には、古より自然の理(ことわり)が反映されています。「七曜」の深い意味を問い直し、紙のカレンダーが求められ、日本人の暮らしに浸透してきた理由を今一度見つめ直そうと考えたのです」。本来のカレンダーの意味を再確認し、未来型のカレンダーへと進化させるべくプロジェクトチーム全員で取り組みを始めた。
これまでの印刷営業といえば、いわゆる「御用聞き」スタイルで、毎年決まった時期に注文をもらい、それを印刷して納めるだけの受け身だった。
鈴木自身の意識が変わるきっかけとなったのは、15、6年前のこと。ある顧客の元を訪れた時、記念事業に関する相談があった。その際、長年の信頼関係を築いていた鈴木に、企画や新商品開発に関するアドバイスが求められたのだ。そこで、「その仕事、是非私にやらせてください」と顧客の懐に飛び込み、企画・プロデュースから携わった。鈴木のプレゼンしたアイデアは当たり、顧客の大きな新事業を見事アシストできた。「何よりお客様から喜ばれたことが大きなやり甲斐につながりましたね。この案件を境に、従来通りのやり方ではなく、提案型の営業をやっていくべきだと気付いたんです」。
40年の経験と実績を基に、鈴木は「売ろうとせず、商品の魅力を伝えること」に徹し、お客様の話をよく聞いたうえで、本質的なウォンツを見抜く提案型営業を心がけている。「カレンダーの需要喚起ももちろんですが、どういうシーンで、どのように活用されているのかをまず探るのが課題。お客様が、カレンダーを通じて何をPRしたいのかという課題を掘り起こさなければ」。
斬新な発想やアイデア次第では、新たな発信媒体として活用できるのもカレンダーの大きな潜在力。たとえば、日本の伝統行事や郷土料理、祭りといったローカルの魅力とともにPRをすれば、地方企業や団体のイメージアップにもつながる。また、フォトコンテストを開催して写真を公募すればイベントとの連携も図れるなど「可能性はいくらでもある」と、鈴木は自信を見せる。「今後は当社のデジタルコンテンツチームや、社内外のブレーンとも連携しながらイベントやドローン動画、SNSなどとの融合を図っていきたいと話す。