「課題解決企業への挑戦」
時代と共に変化しながら、印刷会社として培った知見や経験を活かしていく。
プロローグは「プロジェクトC」。
お客様と共に、地域と共に、私たちの歩みは続きます。
デジタルへの転換が急速に進みつつある印刷業界。それにともなう顧客環境の変化に柔軟に対応し、果敢に新業態を推進するデジタル・コンテンツチームのリーダー溝口計徳。天性のひらめきと着実な実行力で、若手を引っ張る気鋭のリーダーだ。
「弊社は、数ある印刷会社の例にもれず紙媒体をメインに印刷業を手掛けてきました。けれど、2020年以降のコロナ禍で印刷物発注側の購買スタイルが一変。少ロット・短納期に対応できるデジタル化の波は一気に押し寄せてきましたね」と印刷業界を取り巻く背景を溝口は見据えている。
紙媒体だけにウエートを置いていては、立ち行かなくなる未来は想像に難くない。そこで全社的に印刷物をブラッシュアップし、お客様にとって有益になる付加価値をつけるという方向性にシフトした。「もちろん電子化やデジタル化を進めていますが、デジタルに完全移行するわけではなく、紙をベースにいったいどういうことが展開できるのかということから発想をスタートしました」。
プロジェクト立ち上げ前から、溝口をリーダーとする30~40代のスタッフは、従来手がけてきた紙媒体とデジタルとの融合を模索してきた。そして今回生まれたのが、「掛け算」=KAKEZANの考え方だ。「プラスするだけではダメだ。紙に何を組み合わせると、お客さまの課題を解決できるのか」を常に念頭に置いて検討を重ねてきた。
たとえば、「紙(チラシ)×デジタル」「紙(本)×デジタル」「紙×エコ」「紙×環境」など、紙×〇〇により生まれる可能性を創出したいと考え、プロジェクト名も「紙の“KAKEZAN”プロジェクト」に決定。スタッフのモチベーションも一気に高まった。
しかしプロジェクトの進行には困難もあった。日常の業務が動く中、これまで長年行ってきた営業スタイルを急に変えることはやはり難しいのだ。顧客側からの発注を待つ営業スタイルから、いきなり新商品を提案するというのも商慣習上ハードルが高かった。
お客様にいきなり「こんな新商品ができました」と提案したところで、自己満足で終わっては価値も熱量も伝わらない。そこで、まずお客様が何に困り、何を必要としているかを徹底的にリサーチ。先方の課題を解決できるようなアイデアを持ち寄り、社内の各部署とも連携を図りつつ新商品や新サービスの試作を重ねていった。
「売り方を変えるためには、営業社員ひとり一人の意識改革が必要。チームだけでなく、全社員が『おもしろい!』と興味を感じることが大切だと思っています。新しいことに挑戦するというワクワク感を、スタッフ全員と共有したい」と溝口は熱く語る。
そこで、プロジェクト立ち上げから約半年。導き出した個々の提案をブラッシュアップした企画書には、お客様への提案がずらりと並ぶ。ARを活用したデジタルフォトフレームがその一例。また、チラシのウェブ同時配信や観光ガイドの電子ブック化など、今後のデジタルコンテンツとの融和性も見定めながら新商品をラインアップした。また、エコ意識の高まりを受けた商品開発や、古紙回収サービスなど、これまで当社が手がけてこなかった新商品や事業を、今年から一斉にスタートした。